ボクシンググローブの選び方【前編】

マイグローブ購入の際に参考にしてもらえればと思い、グローブ選びのポイントや基本的な知識をご紹介します。

グローブの種類について

ボクシング用グローブには大きく分けて「パンチンググローブ」と「オンスグローブ」の2種類があります。

パンチンググローブとは、ミトンの用な形状で着脱が容易であり軽いミット練習やサンドバッグ打ちに使用するグローブです。

オンスグローブとは、オンス(oz)という重さの単位で大きさが定められたグローブであり、プロ選手が試合中に着用しているものは全てこのタイプになります。

両者の特徴として、パンチンググローブは軽く小さく着脱が容易であり安価であること。その反面、手首やナックルの保護が甘く拳を壊しやすいこと。薄く、親指が露出した形状のものが多いので対人練習に使えない。

オンスグローブの特徴は、それなりの大きさがありパンチンググローブに比べると高価な傾向にある。その分、手首やナックルの保護がしっかりしており拳を壊しにくい。試合での使用を想定しているため対人練習に使える。等となります。

初めてのマイグローブ選ぶ場合、汎用性の高さからオンスグローブの購入をオススメしています。

グローブの素材

グローブ表面に使われている素材は主に「本革」と「合革」となります。

本革製の方が圧倒的に耐久力に優れ、グローブそのものの質や打ち心地が良いものが多く、プロや本格的に格闘技を習っている人に選ばれる傾向があります。高価なだけあり着用時の手首の角度や握り易さ、ナックルの硬さにまで拘って作られておりパンチ自体が打ちやすく、パンチの上達速度が明らかに上がります。

合革製は本革製に比べ安価であり、高くても一万円以下で購入できます。本革製には劣るものの、趣味で格闘技を習っている方には必要十分であり、とりあえずお試しで買ってみようという場合にはオススメです。合革の特性ですが、どんなに大事に使っていても必ず表皮が破れてきますので消耗品として使い捨てるつもりで買うと精神衛生上よいかと思います。

どちらがよりオススメかと問われればそれは本革製とお答えしますが、価格にかなりの差がありますので予算とのご相談にもなるかと思います。前記の通り趣味の範囲でしたら合革製でも必要十分の性能はあります。

グローブの着脱方法

以降はオンスグローブ前提でお話を進めます。

ボクシンググローブには大きく分けて「紐式」と「マジックテープ式」の2種類の着脱方法があります。

プロの試合で使われているのは紐式で、紐で縛った上からテーピングテープで固定しています。マジックテープ式に比べて手首の固定力が強く、見た目もスマートで格好良いです。デメリットとして、一人で着用するのは不可能に近いです。プロボクサー(キックボクサーではなく)はこのタイプを練習で使用する場合もありますが、毎回トレーナーに着脱を手伝ってもらっています。

マジックテープ式はその名の通りマジックテープでの着脱となるため一人での着用もしやすく、全体的に使い勝手が良いです。デメリットとしてはマジックテープの粘着力が弱まってきて、グローブの寿命より先にマジックテープが使えなくなる場合が多々あります。とはいえ、高級ブランドではマジックテープの耐久性問題も概ね解決されています。

その他珍しいものだと「チャック式」や「ゴムバンド式」等もあるにはありますが、メジャーではないため除外させてもらいます。

紐式とマジックテープ式を比較した場合、専属トレーナーを用意できるトッププロでもない限りマジックテープ式を選択するのがベターかと思います(紐式の紐をゴム紐に変えて一人で付け外しできるようにする裏技もありますが)

グローブの重さ

前記の通り、オンス(oz)とは重さの単位であるのでオンスを選択して購入することになります。

メーカーによって誤差はありますが、大体のメーカーが6oz、8oz、10oz、12oz、14oz、16oz等のサイズ展開をしています。もちろんオンスが上がればグローブは大きくなっていきます。

プロ選手の場合、実際試合で使用するオンスのグローブ(ウェルター級までが8oz。それ以上が10oz)をミットやサンドバッグ用に1つ。対人練習用に14〜16ozのグローブを1つと用途に分けて所有するのが通例となっています。

アマチュアの場合、2つのグローブを購入するのは現実的ではないのでミット練習と対人練習を兼用できるサイズである10〜12ozを1つ購入するのが良いかと思います。

一部メーカーでは子供用として2oz(Sサイズ)、4oz(Mサイズ)をラインナップしている場合もあり、未就学児で2oz、小学高中学年程度までが4oz、それ以上が6oz、といったサイズ感だと思います。

ボクシング用かキックボクシング(ムエタイ)用か

プロ選手でも知らない人がいるってくらいマニアックな話ですが、所謂ボクシングで使われるグローブ(以下ボクシンググローブ)とキックボクシングやムエタイなど足技がある競技のグローブ(以下ムエタイグローブ)では微妙に作りが違います。

ボクシンググローブはパンチの攻防のみを意識して製作すればよいため、とにかくパンチの打ちやすさを追求して作られています。

対してムエタイグローブはパンチに加えて蹴りの攻防も加味して作られており、蹴りを手で受けても怪我をし辛いよう手の甲や掌にパットが厚く付けられています。また首相撲などのクリンチワークがしやすいよう装着時に手が開かれるような形のものが多く、ボクシンググローブに比べてパンチの打ちやすさは劣ります。

簡単な見分け方としては、平置きした際に平べったい形をしているのがボクシンググローブ。グローブホールが丸く全体的に立体的な形のものがムエタイグローブです。

選び方としては本当に好みの問題なのですが、ムエタイグローブはボクシンググローブより性能を突き詰めて作られている製品が少ない(というより皆無)なので、キックボクシングのプロ選手でもムエタイグローブよりボクシンググローブを愛用している人が多い印象です。

具体的な選ぶ際のポイント

まず最初に悩むのが「本革製」か「合革製」のどちらかか、ということだと思います。

本革製を選ぶ場合は各メーカーによって様々な特色があるので悩み所ではあると思いますが、合革製を選ぶ場合は好みの色やデザインで選んでしまって問題ありません。

ボクシンググローブの中にも所謂エントリーモデルとフラグシップモデルがあり、各社概ねエントリーモデルを合革で、フラグシップモデルを本革で作成しています。

フラグシップモデルでは他社との差別化のため気合を入れて手作業で作っていますが、エントリーモデルは工場にてとにかく低コストで大量生産を目標に作られているためメーカーによる性能の違いは殆どありません。違いがあるとすればブランドロゴを含めた見た目くらいです。

顕著なものだと作っている工場、製法はまったく同じなのにロゴの違いだけで値段が違う、という商品も見たことがあります。

本革製から選ぶ場合は様々な拘りポイントがあるので、こちらは次の記事でメーカー毎にまとめてご紹介したいと思います。